2012年5月2日水曜日

井蛙内科開業医/診療録 : 麻疹 その2(2/4)


麻疹シリーズ
麻疹 その1(1/4)
の続きです。

麻疹をカタル期に拾い上げるには
カタル期の患者は最も感染力が強いにもかかわらず、症状は非特異的で診断が難しい。

実際、上気道炎や気管支炎などの診断で抗菌薬を処方され、その後出現した発疹が薬疹と誤診された例も多い。病院でスティーブンス・ジョンソン症候群(Stevens-Johnson Syndrome:SJS)と診断され、救命救急センターに搬送された麻疹患者の例もある。

まずは患者接触歴の確認から 
カタル期に麻疹を拾い上げるには、常に麻疹の可能性を頭の片隅に置いておくことが大切である。
そして、症状が出現する10〜12日前に、麻疹患者との接触があったかどうかを必ず尋ねてほしい。

明らかに麻疹と診断された人との接触歴がなくても、麻疹の流行時期に卒業式や入学式、コンサート会場など、大勢の人が集まる場所へ行ったというエピソードがあれば、麻疹の疑いを強められる。
2008年に報告された症例では、成人式の会場で感染したと見られるケースがあった。

麻疹患者との接触歴を聞く際に、麻疹の罹患歴や予防接種歴も忘れずに確認したい。もし罹患歴、接種歴ともになければ、麻疹をより強く意識する必要があるだろう。

また、予防接種歴があっても、まれに免疫を獲得できなかったり(primary vaccine failure)、一度獲得した免疫が年余を経て低下する(secondary vaccine failure)ことがあるため、必ずしも麻疹を否定できないことも念頭に置いておきたい。

コプリック斑は期間限定の大ヒント 
麻疹特有のコプリック斑は診断的価値が高いので、カタル期の症状を診たら必ず口腔内をチェックしてほしい。


どのくらいの昏睡最後の頭部外傷

見慣れた咽頭周辺ではなく、奥歯の対面の粘膜に注目し、白い小斑点を発見したら、翌日か翌々日には発疹が出現してくる可能性が高い。
コプリック斑は発疹出現後2日ほどで消えてしまう「期間限定の大ヒント」なので、ぜひとも見逃さないようにしてほしい。
このほか、血液検査では
(1)高熱の割に白血球数が少なく(2000~3000/μL前後)、CRPもそれほど高値にならない、
(2)成人では肝機能異常を示すことが多い、
(3)LDHが高い——という特徴にも留意したい。
2001年の流行時には、肝機能の低下から急性肝炎を疑われた麻疹患者が、病院の消化器科に次々と入院してきた、というケースもある。

なお、小児と成人で臨床症状に差はないが、症状をうまく訴えられず、ぐったりとしてしまう小児に対し、成人は「のどが痛い」「つらくて眠れない」「死ぬかと思った」といった重症感のある訴えが多い印象がある。

発疹出現から4日以内は、IgMが陰性でも再検査を
確定診断のためのウイルス学的検査では、
(1) 急性感染を示す麻疹特異的IgM抗体が陽性(EIA法)
(2) 急性期と回復期のペア血清で麻疹特異的IgG抗体価の陽転(EIA法)
(3) 同じくペア血清でIgG抗体価の有意上昇(CF法、HI法、PA法、NT法で4倍以上)
(4) 咽頭ぬぐい液または血液からの麻疹ウイルス分離または検出(麻疹ウイルスゲノムはRT-PCR法やリアルタイムPCR法などで検出する)
のいずれかが確認できれば麻疹と検査診断できる。


低悪性度の発熱と考えられるもの

ここで注意すべきは、麻疹特異的IgM抗体は、発疹出現後5日以降の採血であれば確実に陽性となるが、発疹出現から4日以内の場合は偽陰性となる場合があることだ。
発疹出現から4日以内で、症状や麻疹患者との接触歴から麻疹が強く疑われるにもかかわらず、IgMが陰性となった場合は、自分の医師としての直感を信じて、5日目以降に再検査を行ってほしい。

また、迅速診断が必要な場合は、麻疹ウイルスゲノムの検出を最寄りの保健所に相談すれば、地方衛生研究所と連携して対応してもらえることが多い。
国立感染症研究所でも対応可能である。

すべての医師は麻疹を診たら届け出を!  
2007年の流行を受けて、2008年1月1日から、麻疹は従来の定点サーベイランスの対象疾患から全数把握疾患へと変更された。
すべての医師は、麻疹あるいは修飾麻疹と診断した場合、24時間以内に最寄りの保健所に届け出ることが義務付けられている。
臨床診断のみでも届け出の対象となるが、可能な限り検査診断を実施し、その結果を追加報告していただきたい。

麻疹患者発生の情報を医療関係者や行政、学校関係者などが共有することが、麻疹流行を封じ込める上での大きな武器となる。
麻疹に関する各種情報や保健所への届け出様式は、感染症情報センターのホームページに掲載されている。


米国で著名ブロガー死亡相次ぐ 日本でも「ドクターストップ」発生
米国で著名ブロガーの死亡が相次ぎ、「デジタル時代の労働搾取」と話題になっている。
ブログがメディアに匹敵する存在に成長、24時間労働を強いられているケースも多い。日本国内でも「ドクターストップ」が出た著名ブロガーもいる。今やブログ運営はハードワークなのだ。

中略


「ドクターストップ」がかかった著名ブロガーが国内にもいた。
自身のブログのページビューが年間950万ほどにまで成長した経済学者の池田信夫さんは、「プレッシャーはありますよ。月間100万アクセスを超えた辺りから、寝られない日が続き、医者にブログをやめろと言われて…。もう、どうしようもないコメントやスパムとかノイズが凄く飛んでくるんですよ。私はこういったものについて気にしない方なんですが、さすがにストレスになってきています」と明かす。
池田さんは、ストレスを抱えながらも、雑誌に掲載されるよりも社会的に影響力のある情報をいち早く掲載できるメリットがあるとして、ブログの運営は続けていく意向だ。ただ、米国のブロガーがストレスを抱える現象について、次のようにも指摘する。

「日本と米国ではカルチャーが違います。米国ではブログに対して『言論』としての意識が高い。
日本ではカットペーストしてページランクを上げようとする変てこなブログばっかりですが、米国では、例えばSNSの『Facebook』の様に実名で写真まで載せています。
匿名でスパムブログをやってもストレスにならないでしょうが、米国では緊張感が高いんです」

(危ない危ない。ブログもほどほどにしないと・・・)


新型インフル発生時、ワクチン検査不要・厚労省、素早い接種可能 
厚生労働省は新型インフルエンザの発生時に政府が備蓄しているワクチンを国民に素早く接種できるようにするため、薬事法で定める品質などの出荷前検査である「国家検定」を例外的に不要にすることを決めた。近く薬事法の施行規則などを改正する。
 政府は新型インフルエンザの発生に備え、毒性の強い鳥インフルエンザのウイルスをもとに製造した「プレパンデミック・ワクチン」を2000万人分備蓄し、追加も検討している。新型ウイルスの発生後には、より効果の高い「パンデミック・ワクチン」の製造にも着手する方針だ。

<コメント>
インフルエンザワクチンの効果も不確かな現状で、新型インフルエンザワクチンが有効と考えるのは幻想ではないでしょうか。
例年のインフルエンザワクチンの有効性について、シーズン終了後の発表ははたしてされているのでしょうか。
少なくとも私は検索方法や知る手だてを持ち合わせていません。

この新型インフルエンザワクチンとやらはどの医療機関で誰が接種するのでしょうか。
『「国家検定」を例外的に不要にする』といわれても・・・。

他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/
(循環器科関係の専門的な内容)



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